カウンセリング秋田

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学習障害が強みになる
  「わたしにとって,書かれた文章は,曲がりくねった線が並んでいるようにしか見えませんでした。外国語を見ているようなもので,だれかに読んでもらうまでは意味がさっぱり分かりませんでした。先生たちからは,怠けている,反抗的だ,努力していない,話を聞いていない,と思われていました。本当は全然違いました。一生懸命に話を聞き,努力していました。読み書きとはどういうことなのか分からなかっただけなのです。算数などは苦手ではありませんでした。子どものころはスポーツや工作や美術など,読み書きの関係しない手を使うことなら何でもすぐに集中できました。
  「やがて,手を使う仕事を選び,職人になりました。

諦めない

明るい面
知的障害を持つ子どもを育てるのは大変な仕事ですが,そうした暗く思える状況にも明るい面があります。なぜそう言えるのでしょうか。
まず,親はそうした子どもの大多数がつらく感じていないことを知って安心できるかもしれません。ロバート・アイザックソン博士は,自著「発育遅延児」(英語)の中で,「大半の子どもは,幸福感を抱くことができ,人との交流,音楽,一部のスポーツ,おいしい食事,友達に喜びを見いだせる」と述べています。普通の子と比べれば,達成できることは少なく,住んでいる世界も小さいかもしれませんが,“お城”に住む普通の子たちより,“小さな家”に住むこの子たちのほうが幸福である場合も少なくないのです。
二つ目に,親は子どもが一生懸命努力して成し遂げた事柄に誇りを抱くことができます。何であれ新しいことを覚えるのは,高い丘に登ることに似ています。頂上から見下ろすとき,親も子も満足感を味わえるでしょう。一例として,結節性硬化症,けいれん発作,自閉症を患うブライアンのことを取り上げましょう。知力は保たれていますが,話すことができず,手の動きもほとんど制御できません。それでも,コップに半分入った飲み物をこぼさずに飲む方法を少しずつ習得してきました。そのレベルまで脳と体が連動するようになったので,ブライアンは大好きなミルクを自分一人で飲むことができます。
両親は,これを障害に対する一つのささやかな勝利とみなしています。母親のローリーはこう述べています。「わたしたちは息子を,森にある硬い材質の木のように考えています。そのような木は,他の木ほど早くは成長しませんが,非常に価値のある材木になります。同じように,障害を持つ子どもの発育はゆっくりとしたものですが,親にとっては,巨木ではないものの長持ちして価値のあるオークやチークのような存在になるのです」。
三つ目に,多くの親は子どもの愛情深さに心温まる思いをします。イルムガルドはこう述べています。「ユニケはだいたい早く寝ますが,いつも床に就く前に家族全員にキスをします。わたしたちが帰宅する前に寝てしまう時は,起きていられなくてごめんなさい,というメモを残します。そのメモには,わたしたちを愛していることや,翌朝みんなの顔を見るのを楽しみにしているといったことが書き添えられています」。
マルクスは話すことができませんが,両親への愛を伝えるために苦労して手話を少し覚えました。発達障害児であるティアの両親は,自分たちが感じていることとして,「ティアがいるので,我が家は愛,ぬくもり,愛情,抱擁,キスでいっぱいです」と述べています。とはいえ,そうした子どもたちが親から,言葉でも体でもあふれるほどの愛を示してもらう必要があるのは言うまでもありません。

依存しすぎないように励ます
知的障害を抱えていても,子どもはいつまでも子どものままではなく,大人へと成長します。ですから親として,特別な助けを必要とする子どもが他の人に依存しすぎないように教えるのはよいことです。マルクスの母親のアンネは,「全部やってあげたほうが簡単で早いのですが,極力意識して,自分のことはなるべく自分で行なえるように助けました」と述べています。ユニケの母親はこう付け加えています。「ユニケにはたくさんの良い点があるのですが,頑固になることがあります。気の進まないことをさせるには,わたしたちを喜ばせたいという気持ちに訴える必要があります。することに同意してくれても,最初から最後までそばにいて励まさなければなりません」。
ブライアンの母親のローリーは,どうすれば息子がより充実した生活を送れるかと,いつも考えています。夫と二人で3年にわたり,ブライアンがキーボードを打てるように助けてきました。ブライアンは,家族や友人にEメールを送ることができるようになって,とても満足しています。しかし,キーボードを打つ時には,手首を支えてもらう必要があります。それで両親は,ひじを支えるだけで打てるレベルまで進歩するよう助けています。手首からひじまでのわずかな距離が,自立への大きな一歩になることを知っているからです。
とはいえ親は,期待しすぎたり,せかしたりしないようにする必要があります。子どもの潜在能力はそれぞれ異なります。それで,「特別な助けを必要とする子ども」(英語)という本はこう勧めています。「これまでの経験に基づく良い方法は,自立を励ますことと,欲求不満にならないよう十分に援助することとの間でバランスを保つよう努めることである」。

 諦めない

  親は何ができるか
■ 子どもの障害について学び,情報を取り入れる。
■ 積極的な態度を保つようにする。
■ 子ども自身の能力の範囲内で自立できるように助ける。
■ 勇気,希望,力を与えてくださるよう,神に願い求める。
他の人たちは何ができるか
■ 子どもに,きちんとした言葉で誠実に話す。
■ 子どものことを親と話し,親を褒める。
■ 親の感情に敏感になり,配慮を示す。
■ 特別な助けを必要とする子どもの親や家族と一緒に活動する。
他の人はどのように助けになれるか
  マラソン選手の持久力に感心する観客のように,障害を持つ子どもの世話を1日24時間,週7日間続ける親のスタミナには驚かされるかもしれません。マラソンの場合,沿道の観客は,選手を励ますために声援を送ります。特別な助けを必要とする子どもを生涯にわたって世話する親を,あなたも励ますことができるでしょうか。
  助けになるためにできることの一つは,ただ子どもに話しかけることです。初めは,ほとんど反応がなくて不安な気持ちになるかもしれません。しかし,思いに留めておきたい点ですが,そうした子どもたちの多くは,話を聞くのが好きで,その内容について深く考えているかもしれません。氷山の大部分が水面下に隠れているように,そうした子どもが考えていることもあまり表に現われない場合があります。また,深い感情が表情に出ないこともあります。
  小児神経科の医師アンニッキ・コイスティネンは,会話をしやすくする方法として,次のことを提案しています。「最初はその子どもの家族の話や遊びの話をするとよい。子どもの実際の年齢に応じて話し,それより年下であるかのように話してはならない。一度に一つの話題に絞り,文も短くする。こちらが話したことを考えてもらう時間を与える」。
  親も,会話を必要としています。親の感情的な問題をよく知れば,感情移入しやすくなるでしょう。例えば,マルクスの母親のアンネは,愛する息子のことをもっと知りたいと願っていますが,息子が母親に話すことも,自分の考えや気持ちを説明することもできないので残念に思っています。また,自分が先に死んで,息子が取り残されてしまうことを心配しています。
  親は,知的障害を持つ子どもをどれほどよく世話していても,まだ不十分だと感じやすいものです。ブライアンの母親のローリーは,息子の世話をしていて失敗すると,それがどんなにささいなものであっても自分を責めてしまいます。ほかの子どもたちに十分関心を払えないことにも罪悪感を抱いています。そうした親自身やその感情に関心を払い,敬意を示すなら,その親と子どもの尊厳を認めて支えになることができます。その点について,イルムガルドはこう述べています。「娘のことを話してもらえるとうれしいです。ユニケとの生活のことで一緒に笑ったり泣いたりしてくれる人たちが大好きです」。
  ほかにも,大小様々な点で助けになれます。その親子を家に招いたり,自分の家族と一緒に何かを行なうよう誘ったりすることができるかもしれません。また,その子どもと数時間一緒に過ごして,親が休めるようにしてあげることもできるでしょう。